大学4年の時、専攻科目毎に10人程度が1クラスになった「研究室」に所属しました。
私が専攻したのは、環境工学と言う分野でした。
省エネとか言う言葉が、漸く定着してきた時代だったと思います。
卒業して約30年ぶりに研究室の集まりがありました。
久し振りに旧友の姿を見る事が出来て、心から嬉しく思いました。
思い起こせば、色々な事がありました。
夜中迄、学校で研究をした挙句、突然、「日本海が見たい」と言い出した奴が居て、
皆で、車を飛ばして、東京から新潟迄行った事がありました。
会津や乗鞍や熱海に、旅行に行った事もありました。
所属当時は、あまり知った人も居なかったものだから、何となく皆に話しかけられなくて、
夕方になると、真っ先に帰宅したりしていたのですが、
皆が手を差し伸べてくれたお陰で、ある時から打ち解ける事が出来る様になりました。
良い奴ばかりの研究室でした。
久し振りに、どんな顔をして会ったら良いものかと思っていましたが、
顔を見れば、お互いにそれ相応におっさんになったものの、昔と同じ声と雰囲気で、すぐに呼び捨ての仲です。
建築学科でしたので、私以外は分野は各々違えどもそれに関係する仕事をしています。
「黒木は、自分の好きな事をやって良いな」と言われ、
確かに好きな事をやっている事は、好きではない事をやっているより良いのだろうなとは思ったものの、
それはそれで、まあ、色々大変なのです。
映画やドラマの音楽を作っている時などは、それこそ裁量労働そのもので、1日の実労16時間など当たり前。
1曲いくらの世界ですから、当然、残業代などゼロです。
能力のある人は、20分で作り、ない人は徹夜です。
誰も助けてくれませんから、とにかく、自分の責任でやり遂げるのです。
責任がありますから、時間がなかろうが適当になんか出来る訳がありません。
好きでやっていたとて、んなもん嫌いになります。
一々、反論しませんでしたが、つまりは、隣の芝は青いのです。
だから、自分の務めている会社は、ブラックだと言う話を聞いたものの、
1級建築士の資格なんぞ取って、建築関係の仕事なんぞしたり、何かかっちょ良いんじゃないかと、
こっちはこっちで思ったりして。
そうなのです。
結局、楽しいだけの仕事なんぞ、ある訳ないのです。
きっと、アイドルだって同じです。
何も知らん子は、私も俺もキャーキャー言われるアイドルになって、楽しい日々を送るのだなどと、
たわけた事を考えるのでしょうが、アホぬかせ、この世間知らずが!
そんなに楽しい世界なんだったら、今から俺がやったるわ。
何故、私がアイドルにならずに、こんな事をしているかと言えば、アイドルは大変だからです。
もはや、同期会がどうだったかなど、思い切り吹っ飛んでしまいましたが・・・
何だかんだ言っても、死なずに無事に再会出来た事は、嬉しいではないですか。
若い人は、自分が明日死ぬかもしれないなんて、思ってもいないでしょうけれど、
50を過ぎると、生きている事自体に、ありがた味を感じたりもします。
次に会う時は、いつだか分かりませんが、商売が上手く行っていてもいなくても、
お互いに元気でいたいものです。